自己免疫疾患についての基礎知識

自己免疫疾患についての基礎的な知識を紹介します。

自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)とは

自己免疫疾患とは細菌やウイルス、腫瘍などの自己と異なる異物を排除するための役割を持つ免疫系が、本来の働きをせずに自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことで異常を来す疾患の総称です。

自己免疫疾患には2種類あり、全身に影響が及ぶものを全身性自己免疫疾患といい、特定の臓器だけが影響を受けるものを臓器特異的疾患といいます。よく知られている膠原病(関節リウマチや全身性エリテマトーデス等)は、全身性自己免疫疾患であり、臓器特異的自己免疫性疾患の代表的なものに甲状腺のバセドウ病、橋本病。膵臓の若年性1型糖尿病。肝臓の自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変などがあります。

20世紀初めには、免疫系は自分自身を攻撃しないとする自己中毒忌避説が主流でしたが、その後の研究により自分の体の構成成分を抗原とする自己抗体の存在が確認されるにつれ、自己免疫疾患の存在が明らかになってきました。

今日では、自己免疫が関与している、または、自己免疫の関与が示唆される疾患が多数知られています。

自己免疫疾患の種類

自己免疫疾患の種類は多数あり、すべてが解明されているわけではありません。最近とても多くなっているのが「甲状腺機能亢進」で、これも特に女性に多い疾患の1つです。ここでは代表的な疾患を紹介していきます。

「バセドウ病」、「悪性貧血」、「アトピー性皮膚炎」の一部、「インスリン受容体異常症」、「グッドパスチャー症候群」、「グレーブス病」、「血管炎」、「混合結合組織病」、「糸球体腎炎」、「自己免疫性溶血性貧血」、「自己免疫性血小板減少性紫斑病」、「重症筋無力症」、「シェーグレン症候群」、「ジンマシン」の一部、「全身性エリテマトーデス」、「喘息」の一部、「多発性筋炎」、「天疱瘡」、「糖尿病」の一部、「特発性アジソン病」、「白斑」、「橋本病」、「不妊症」の一部、「慢性活動性肝炎」、「慢性関節リウマチ」・・・

慢性的に経過し、難治性であるため、日本では公費負担の対象として定められた特定疾患に含まれている疾患も多いです。

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自己免疫疾患の原因

自己免疫疾患は基本的にはストレスが原因で起こります。肉体的精神的にストレスを感じていると顆粒球という白血球が増え、リンパ球系が低下します。このような免疫が低下したときが、自己免疫疾患を起こしやすい状態ということです。

ただし、バセドウ病などはストレスが原因ではありません。ストレスが原因で症状が悪化することは確認されていますが、発症する原因は未だ不明です。

理由は明らかになっていませんが、多くの自己免疫疾患は女性に多いのが特徴です。ホルモンが関与しているという説が有力です。特にバセドウ病は若年の女性に多い疾患で、男子の4〜5倍の頻度で発症します。症状が女性の更年期とよく似ているため、気付くまでに時間がかかってしまうケースが多くあります。

自己免疫疾患は円形脱毛症の原因としても、最も有力視されていますが、結局結論としては「はっきりわかっていない」というのが実情です。まだまだ解明されていない部分が多いのが自己免疫疾患なのです。